建築やインテリアと調和し響き合うMusicシリーズ 〜Music × Arts Vol.6 建築ライター・編集者 加藤純さん 〜

編集者・ライターとして、建築やインテリア分野の出版物やWEBの企画制作に携わる加藤純さん。
仕事を通じて数多くの空間を体験し、日常的に音楽に触れる生活に「Music 3」を導入して楽しんでいます。
新しい建築ポータルサイト「TECTURE MAG」を準備中の加藤さんに、音楽と空間の密接な関係や、「Music」の感想を伺いました。

(Interview by M.Uchida / Photos by Hayato Tsuchiya)

――音楽と建築やインテリアには、どのような関係があるのでしょうか?

空間のデザイナーは様々な要求や条件を整理し、統合しながらその場に合った最適のかたちをつくっていきます。そうして出来上がる建築やインテリアは、目に見える要素に注目が集まりがちです。

でも、目に見えない要素もすごく大事です。住宅や施設の中に入ると、それぞれの違いがはっきりと分かります。例えば、かすかに音楽が流れていたり、ふわっと香りがしたり、ちょうどいい温度や湿度だったり。また、温かみのある明かりの下、腰掛けたソファの手触りがよかったり。人に備わっている五感は実に繊細で、こうした要素が絡み合って、私たちは心地よさを感じています。それで自分は空間について読者に伝えるとき、目に見える要素だけでなく、空間に身を置いたときにどのような豊かさを感じ、それがなぜなのかを含めるように心がけています。

――Musicシリーズを見て、どのような印象を持ちましたか?

Musicシリーズは、細部まで考え抜かれたデザインだなと感じました。直線的でありながら立体感のある彫刻のようなフォルムと、フレームやファブリックの上質な素材感、そして上品な色合いが相まって独自の存在感を醸し出しています。

空間における音は、光と近しいように思います。光のデザイン操作は大きく分けると、目に見えるランプの形状にするか、ランプを見えないように天井などに隠す方向があります。個人的には、空間に合ったランプを置きたいと思っています。選ぶのは難しいですが、それもまた楽しいものです。音も、天井裏にスピーカーを隠すよりは出して置くほうが楽しめると思います。

Musicシリーズは確かな個性がありながらも主張しすぎず、自分の好みです。Music 3のブルーを購入したのですが、写真で見て想像していたよりもシックな印象で、喜んでいます。白を基調としたようなプレーンな空間にも、素材感のある空間にも、Musicシリーズはすっと馴染むのではないでしょうか。家具も電化製品も、一度購入すると意外と長く使うものです。Music 3に触れて、身の回りの製品は「とりあえず」で買うのではなく、きちんとデザインされたものを厳選していきたい、と改めて思いました。

――実際に音楽を聴いた印象は、どうでしたか?

DYNAUDIOはハイエンド製品で確かな実績と定評があると聞いていましたが、実際に鳴らしてみると想像を超えたものでした。高い音から低い音まで解像度が高く、音が広がって立体的に聴こえるように感じました。コンパクトで高機能というのには、グッときます。

普段の仕事でPCに向かうときは、BGM的に作業を邪魔せず、気分がほどよく乗るようなエレクトロニカやジャズを流すことが多いです。試しに他のジャンルの音楽もかけたのですが、特に近年リリースされた音楽には圧倒されましたね。録音環境が、昔とは異なるためでしょうか。最新の流行曲やボーカルメインの曲など、Music3で聴いてみたい音楽も次々と出てきて、音楽の楽しみが広がっています。

――Musicシリーズは、どのようなシーンで使っていますか?

まずは自宅兼オフィスで使用しています。以前は古い某有名スピーカーとワイヤレスアンプのセットで、スマートフォンやPCからストリーミング音楽を再生することが多かったのですが、Music 3のほうが聴きやすいですね。

リビングにも持ち込んだところ、家族みんなで楽しめました。子供が良質な製品に日常的に触れることは、おおげさに言えば教育的効果が高いといいますか、とても良いことだと思います。余力があれば、1人1台あってもいいですよね。

――他に、Musicシリーズはどんな空間に向いているでしょうか?

特に中小規模のオフィスには適しているのではないかと思います。今お話しているこの場所は、自分が企画に参加しているスタートアップ企業のオフィスです。Music 3を持ち込んで試したのですが、配線や機材を整えることなく1つで済むのでとても手軽に感じます。オフィスにいる人のデザインの好みはそれぞれだと思うのですが、Musicシリーズは幅広く受け容れられるのではないでしょうか。そして少し大きな空間でも、快適に聴くことができています。

商業施設にも向いていると思います。ネットショッピングが普及する一方で、サロンやショップなどでは特別な時間を共有する体験が重要になってきています。そのときに、最初に話したように音はおざなりにできません。配線工事にまつわる問題がなく、ネットワークで6台まで接続可能というので、レイアウトの変更などにも対応しやすく、コストも抑えられる。そして利用者のスマートフォンとの接続がしやすいので、ホテルの客室には特にフィットするのではないでしょうか。

個人的には、これから外や半屋外のスペースに持ち出して楽しみたいと思います。昔の日本建築では縁側や開け放った部屋で、庭のつくばいや鹿威し、水琴窟の音、風で笹のこすれる音などを日常的に取り入れていました。自然の音とMusicで鳴らす音楽の融合を楽しんでみたいですね。

Profile:加藤純

1974年生まれ、東京都出身。建築ライター・編集者。東京理科大学工学部第一部建築学科卒業、同工学研究科建築学専攻修士課程修了。株式会社建築知識(現・エクスナレッジ)月刊「建築知識」編集部を経て、 2004年より建築・インテリア関連のフリーライター・エディターとして活動を開始。専門・一般を問わず、雑誌・ムック・書籍・WEBの企画・編集・執筆を行う。主な著書に『日本の不思議な建物101』(エクスナレッジ)、『「住まい」の秘密』〈一戸建て編〉〈マンション編〉(実業之日本社)、『タイル装飾で建築をアートに変える』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『小屋入門』1~3(地球丸)。http://jkcontext.com

現在、設計・メーカー向けのプラットフォームをつくるTECTURE(https://tecture.jp)と連動し、「空間デザインの未来をつくる」ポータルサイト「TECTURE MAG」(https://mag.tecture.jp/)を4月より公開。